医療TOPICS

目指せ!専門・認定薬剤師 vol.1スポーツファーマシスト②

要約すると

  • 『目指せ!専門・認定薬剤師』シリーズでは、薬剤師のさまざまな専門・認定薬剤師制度について、その資格を有し現場で活躍中の先生に紹介していただきます。
  • 今回の専門・認定薬剤師のテーマは「スポーツファーマシスト」です。3回に分けてこの資格の魅力をお話します。この機会にスポーツファーマシストを目指してみませんか?

薬剤師のはつみさんは、スポーツファーマシストに興味があるようです。実際に、スポーツファーマシストとして活躍している先輩薬剤師に、話を聞いてみることにしました。
今回の先輩薬剤師は、遠藤敦先生(株式会社アトラク 代表取締役社長)です。

 

 

はつみさん:はつみ薬剤師

スポーツファーマシストとして、先輩は日々どんな活動をしているのですか?

 

先輩薬剤師:男性薬剤師2

ドーピング防止のための日々の活動と、実際にあった相談事例についてお話します。

 

 

競技会での相談ブースやネット上で相談フォームを作り、選手や家族が気軽に相談できるように。

スポーツファーマシストはドーピング防止活動が中心となりますが、対象に対しては幅広い繋がり方があります。
私はありがたいことに色々な機会を頂いているので、その例を通して紹介していきたいと思います。

例えば、私の加盟する地区薬剤師会などでは、行政との連動により地域でのスポーツ大会などにおいてドーピングを含めた薬に関する相談ブースを出しました。当日は選手や家族などからスポーツに限らず、健康相談を含めて多くの方がいらっしゃいました。また薬剤師会でインターネット上にドーピング防止相談フォームを作成し、その使用方法を記載したパンフレットを地区の体育施設を中心に配布するなど、選手が気軽に相談できる形を構築しています。
私の地域以外でも、毎年開催される国民体育大会の開催地の各都道府県薬剤師会は活発に活動をしていますので、是非連絡を取ってみてください。

プロフットサルチームをメディカルメンバーとしてサポート。
選手が使用する薬は使用前に必ず連絡が入る体制に。
選手の持病ごとに使用可能薬リストを作成。

スポーツファーマシスト個人の活動としては、チームの薬の管理があります。私もプロフットサルチームのメディカルメンバーとしてサポートに入っていますが、選手が使用する薬に関しては医療用、一般用医薬品すべてにおいて必ず使用前に連絡が入るようになっています。また予め選手の持病ごとに使用可能薬リストを作成し、受診の際には選手に持参させるようにしています。

ただ使用可能薬リストを作成したり、手元の医薬品にドーピング禁止物質が含有するか否かの相談を受けるだけがスポーツファーマシストとしての仕事ではありません。

喘息の既往のある選手から呼吸器科を受診したいと相談があり、使用可能薬リストを作成

私がサポートしている選手での例ですが、その選手は気管支喘息の既往が有り、季節的に春に出やすいということで、シーズン中に発作が出ないようにコントロールしたいということで呼吸器科を受診したいという相談がありました。
緊急時の対応として私の携帯電話番号を載せた喘息に関わる使用可能薬リストを作成し、検査の過程含めて何らかの薬を使用する際には医師にリストを確認してもらい、不明な点があれば私に連絡するように指示を出しました。
しかしながらその選手は処方された薬にはドーピングの基準で禁止されている成分が含まれており、経緯を選手に確認したところ受診の際にリストを忘れてしまい、医師の「大丈夫」に流されるまま検査を行い、薬の処方を受けていました。
検査の際にも薬は使用されていましたが規定量の吸入での使用に関しては問題のないものでしたので検査としては問題ありませんでしたが、対応としてはあまり良くないものでした。
最終的には処方された薬に関しては医師と相談の上、ドーピング検査のある選手でも使用できるものに変更してもらい事なきを得ました。

プロフェッショナルとして選手に寄り添う
医薬品の成分、選手の既往や治療状況、薬をいつ使うのか、ドーピング検査のしくみや規定など広い知識が必要とされる

ただ禁止物質を含むかどうかは、インターネット上にも日本アンチ・ドーピング機構のホームページに有るgrobal DRO(http://www.globaldro.com/jp-ja/default.aspx)などのサービスもあります。
スポーツファーマシストという「薬剤師」が何をするのかというところがこの制度の本質ではないかと考えています。
ただ医薬品の情報を提供するだけではなく、それが使われる検査の過程や治療に関することまで幅広い視点を持つプロフェッショナルとして選手に寄り添うこと。それこそがスポーツの現場に薬剤師がいる意味であり、また通常の薬剤師業務においても重要な点の一つです。

このようにスポーツファーマシストの業務は医療用・一般用医薬品の成分はもちろんのこと、それらの使用方法などにも幅広い知識を備える必要があります。同時にドーピング検査という非常に厳しいその細かい仕組みや規定に関してもしっかりと頭のなかに入れておく必要があります。

 

はつみさん:はつみ薬剤師
禁止表にのっている薬物かどうかだけでなく、服用量や使用するタイミング、ドーピング防止に関する幅広い知識が必要とされるんですね。アスリートの方には、うっかりドーピングを防ぐためにも、薬を使用する前に先輩のようなスポーツファーマシストにぜひ相談してほしいと思いました。

 

先輩薬剤師:男性薬剤師2
次回はスポーツファーマシストが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてどのような活動をしていくのか、そしてその先にどんな未来を描くのかをお話したいと思います。

 

目指せ!専門・認定薬剤師 vol.1スポーツファーマシスト③へ続く